試合レビュー

【火事場の馬鹿力】チュアメニの一撃とヴィニシウスの電光石火の得点でCLベスト16へ  レアル・マドリード vs ベンフィカ 試合レビュー チャンピオンズリーグ・プレーオフ2ndレグ

試合概要

この記事では、2月26日(日本時間)に行われた、

チャンピオンズリーグ・プレーオフ2ndレグ「レアル・マドリード vs ベンフィカ」の試合を振り返ります。

1stレグをアウェイで0-1とモノにし、ホームで迎えた2ndレグ。
直前のラ・リーガではオサスナ相手に「左頼みの攻撃」「被カウンター対応の綻び」から逆転負けを喫し、チームとしての攻撃設計と守備バランスに大きな疑問符がついたタイミングでした。

その流れを断ち切りたい一戦でしたが、試合は序盤からベンフィカの圧力に飲み込まれ、あっさりと先制を許す苦しい展開に。
それでもチュアメニ弾と、終盤のヴィニシウスの電光石火カウンターで2-1の逆転勝利。
内容面に課題は山積みのままですが、「個」と「要所のブロック」でCL決勝トーナメント進出を手繰り寄せたゲームだったと思います。

まいマド的総括

チャンピオンズリーグ・プレーオフ2ndレグ レアル・マドリード vs ベンフィカのスタメンとハイライト

試合ハイライトはこちら

両チームのスタメンとフォーメーション

画像引用元(FOTMOB

試合の流れ

序盤に飲み込まれたマドリー、ベンフィカのハイプレスに苦しむ

立ち上がり5分から、流れは完全にベンフィカでした。

ベンフィカはマドリーの両CB、リュディガーアセンシオにあえてボールを持たせ、その先のパスコースをマンツーマン気味に潰す形。
保持の入り口で時間と選択肢を奪い、高い位置から一気に奪い切ることを徹底していました。

一方のマドリーは、クルトワに戻してロングボールを蹴らざるを得ない展開が続きます。
ここに「ビルドアップの設計」と「ロングボールの的」という2つの課題が露呈しました。

  • 両CBからの前進ルートが用意されていない
  • それでも蹴らざるを得ない時に、頼みのゴンサロも徹底マーク

結果として、前半10分までは「クルトワのロング→回収される→再び押し込まれる」という、完全にベンフィカ主導の流れに。

そして13分、ついに失点。
CFへの縦パスからサイドに展開され、グラウンダーのクロスに対してアセンシオが反応するもクリアしきれず、あわやオウンゴール。
クルトワが一度は弾き出したものの、そのこぼれ球を押し込まれて0-1。

守備ブロックが整う前にあっさりとやられたシーンでした。

ただ、この失点がようやくチームを目覚めさせます。

16分、右サイド深い位置までえぐったフェデ・バルベルデが冷静にマイナスのクロス。
ペナルティエリア手前のバイタルで構えていたチュアメニが、流れてきたボールを丁寧に流し込んで同点。

それまで全く入れていなかった「アタッキングサードのバイタル」に、ようやくボールと人を送り込めた場面でした。
この形ができるなら「最初からやれ」と言いたくなる一方で、今のマドリーが“ギアを上げないと出せない形”であることも示していたと思います。

中盤での適応と、ヴィニへの集中マーク──前半の修正

同点後も、構造的には大きく変わっていませんでした。

以前から指摘している通り、「左でヴィニ頼み」「右はフェデのボックスtoボックス頼み」という構図は、この試合でも基本的には変わりませんでした。

ただ35分前後から、守備面でチュアメニがベンフィカの攻撃をことごとく捕捉し始めます。
中盤のバイタルでのデュエル勝率が上がり、そこから前向きにボールを奪えるようになってきたことで、ベンフィカも前半序盤のような“押し込みっぱなし”の時間帯を継続できなくなりました。

攻撃面では、ヴィニシウスのギアが徐々に上がり、2〜3人に囲まれるシーンが増加。
それ自体はネガティブではなく、「他の選手が浮いている」状態でもあるので、本来は

  • 逆サイドのスペースを使う
  • ハーフスペースでギュレルやインサイドの選手をフリーにする

といった活用をしたいところです。

ただこの試合では、そこまで設計された連動には至らず、前半は1-1のまま折り返し。
「適応して試合をフラットには戻したが、突き放すところまではいけなかった」という印象でした。

再びロースタートの後半と、ヴィニが決めた「決定的な一撃」

後半に入っても、マドリーはロースタート。
前半終盤のポジティブな流れを維持することはできず、再びベンフィカにペースを握られる時間帯が訪れます。

  • ベンフィカのシュートがクロスバーに救われる場面
  • 味方同士でぶつかるシーンが連発(リュディガー×カレーラスアセンシオ×カマヴィンガ

など、「集中力」「コンディション」「ラインコントロール」の3点に不安を感じる時間帯でした。
特にアセンシオは衝突の影響が大きく、そのまま負傷交代。守備面の計算が狂う嫌な交代となりました。

それでも、勝負を決めたのはやはり「個」です。

80分、イーブンボールを拾ったフェデ・バルベルデが一気に前進。
裏抜けのタイミングを図っていたヴィニシウスに、優しいグラウンダーのスルーパスを通します。

これをヴィニシウスがワンタッチで流し込み、2-1。

力任せではなく、コースをしっかり見極めた“優しいシュート”。
21-22シーズンに彼が身につけた、「力でねじ込むだけではない」コントロールしたフィニッシュのバリエーションが、ここ一番で顔を出しました。

その後はカンテラーノのセステロピタルチを投入し、試合をクローズ。
危うさは残しつつも、2戦合計スコア3-1でベンフィカを退け、CL決勝トーナメント進出を決めました。

管理人の感想

内容面は…攻撃設計の“限界値”を見せた試合

まず、内容面から正直に言うと、この試合は「結果が全て」のゲームでした。

  • ベンフィカのハイプレスに対して、リュディガーアセンシオからのビルドアップに明確な解法がない
  • いざロングボールを蹴るとなっても、ゴンサロも徹底マーク
  • アタッキングサードに入った時も、左のヴィニシウス頼みで、他のレーンに意図的な“ズレ”を作れていない

この試合は勝てたからよかったものの、ここ数試合と比較しても中身がないような試合でした。
特に「どう点を取るか」の解像度が低いままです。

この試合でも、

  • 左はヴィニシウスの個で剥がす
  • 右はフェデのボックスtoボックスと、トレントの高い位置取りで厚みを作る
  • 中央はカレーラスが状況に応じて内と外のポジションを使い分けて渋滞を解消しつつ配球

という設計は悪くありませんでした。
実際、カレーラスの内側ポジショニングは良く、「可変のハブ」として機能していたと思います。

ただ、それでも攻撃の最終局面になると、

  • アタッキングサードでの3人目の動きが少ない
  • バイタルに侵入した後の「型」がない
  • ゴール前の枚数が足りず、クロスが“誰にも合わない”形で終わる

こうした構造的な問題が、強度の高いベンフィカ相手だとよりくっきり浮き彫りになりました。

今回の2ゴールはどちらかというと

  • チュアメニの綺麗なミドル
  • ヴィニシウスのフィニッシュ精度と、フェデの前進能力

といった“個の解決”に救われた印象です。

チュアメニとフェデ、そしてヴィニ──「個」が守った聖域

個人にフォーカスすると、やはりキーマンは3人でした。

まずはチュアメニ
失点後から中盤での捕捉力が一気に上がり、ベンフィカの前進をバイタル手前で止め続けました。
ボール奪取とカバーリングに加え、自ら決めた同点弾。
ボックスtoボックスというよりは、“バイタルの聖域を守る番人”として、今日もチームを支えていたと思います。

次にフェデ・バルベルデ
右サイドカバーから中盤のスライド、前線へのスプリントと、いつも通りの労働量。
同点弾のアシストと、決勝点の起点も彼。
「ボールを奪ってからどこまで運べるか」という意味で、まさにボックスtoボックスの体現者でした。

そしてヴィニシウス
前半から徹底マークに遭いながらも、徐々にギアを上げて相手DFを剥がし続け、終盤に決定的な一撃。
21-22の頃から身につけた“優しいフィニッシュ”を、ここで出せるあたり、メンタル面の成熟も感じます。

調子の悪い時の彼なら、力いっぱい左足でニアをぶち抜きに行くか、変に切り返してボールをロストしていたかもしれません。
今日は落ち着いてコースを見極めた上で、必要最小限の力で流し込んだ。
この「無理しない強さ」は、シーズン終盤に向けてますます重要になるはずです。

それでも残る、エンバペと9番問題

一方で、構造的な課題として無視できないのがエンバペ不在時の“得点設計”、そして彼がいる時の“立ち位置問題”です。

オサスナ戦でもそうでしたが、

  • エンバペを9番として使うと、背負ってプレーする局面が増え、彼の良さが薄まる
  • 左に流れてプレーしたがると、ヴィニシウスとエリアが被り、どちらかが消える

というジレンマが続いています。

個人的には、エンバペはサイドorシャドー気味のポジションで前を向いてボールを持たせるのがベストで、
そのためにも「誰を9番に据えるのか」をそろそろ決めにいく必要があると強く感じました。

まとめ

  • 2-1で勝利し、2戦合計3-1。内容には課題が残ったものの、CL決勝トーナメント進出を決めた試合。
  • 組織としては、ビルドアップの設計不足、アタッキングサードでの停滞、「引かれたら点が取れない」攻撃パターンの貧弱さという、以前からの課題がそのまま残っています。
  • 一方で、チュアメニのバイタル守備と同点弾、フェデのボックスtoボックスな奪取&前進、そしてヴィニシウスの“優しいフィニッシュ”は、チームを前に進めるポジティブな要素でした。
  • シーズン全体を見れば、「誰を9番に据えるのか」「エンバペをどのゾーンで活かすのか」「可変と保持の先にある“点を取る型”をどう作るのか」というテーマは、もはや先送りできない段階に来ていると感じます。

次戦は、3月3日ホームでのヘタフェ戦。
エンバペの出場可否が不透明な状況ではありますが、特にアタッキングサードの崩しと9番問題がどう修正されるのか、しっかり追いかけていきたいです。

ではまた次の記事でお会いしましょう! バイバイ!

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