試合レビュー

【深まる混迷】“ギア”の上げ方を忘れたマドリー 自滅&ボルダラスの術中にハマり痛恨の完封負け レアル・マドリード vs ヘタフェ 試合レビュー ラ・リーガ第26節

試合概要

この記事では、3月3日(日本時間)に行われた、

ラ・リーガ第26節『レアル・マドリード vs ヘタフェ』の試合を振り返ります。

直近のリーグ戦ではオサスナ相手に2-1で敗戦。
左サイド頼みの攻撃でズレを作れず、同点までは最低限持ち込んだものの、交代策と被カウンター対応の綻びから終盤に失点。

組織としてはカレーラスの内側ポジショニングやアラバの安定感といったポジティブ要素がある一方で、「引かれたら点が取れない」「9番不在」「アタッキングサードの停滞」という深刻なテーマを抱えたまま、このヘタフェ戦を迎えました。

そして今節、ベルナベウでのヘタフェ戦は0-1で敗戦。
18年ぶりとも言われるホームでのヘタフェ戦黒星という結果以上に、「ギアを上げたくても、上げ方がわからない」現在地を突きつけられた90分だったと僕は感じています。

まいマド的総括

ラ・リーガ第26節 レアル・マドリード vs ヘタフェのスタメンとハイライト

試合ハイライトはこちら※アップロードされ次第更新予定!!

※ハイライト引用(Real Madrid

両チームのスタメンとフォーメーション

画像引用元(FOTMOB

試合の流れ

肉弾戦の中で主導権を握れず──中盤の攻防と“義務チャンス”の不発

立ち上がり10分までの構図はかなりはっきりしていました。

  • ヘタフェ:得意の肉弾戦で中盤を潰しにくる
  • マドリー:地上戦でも空中戦でも明確に優位に立てず、相手陣内までスムーズに前進できない

保持の場面では一応ボールは持てるものの、ヘタフェの球際とファウルを織り交ぜた“ダーティー寄りの強度”に対して、マドリーはテンポを上げきれず。
「ヘタフェのプレスをどれだけ地上戦で剥がせるか」がこの試合の序盤の鍵になることは、明白でした。

13分過ぎから、双方に決定機が生まれ始めます。
マドリー側のハイライトは、やはりピタルチのプレスから生まれたビッグチャンス。

  • 高い位置での見事なボール奪取
  • そこからヴィニシウスへ絶好のラストパス

これは決め切ってほしかった場面で、正直ここがこの試合におけるマドリー最大のチャンスだったと思います。
ここを外してしまったことで、試合全体の流れを引き寄せきれなかった印象があります。

一方で守備面では、マークの付き方やスピードに乗った攻撃への対応が緩く、
「最後のシュートさえブロックできればOK」というような、かなり危うい設定になっていました。
被カウンター対応というより、“そもそもブロックを作る前に持ち込まれすぎている”感覚です。

球際と時間稼ぎに飲み込まれた前半──そして痛恨のゴラッソ

20分過ぎからは、徐々にマドリーが保持で押し込む展開に変化します。
ただ、ここからが今のチームの限界値が出るところです。

  • アタッキングサードに入ってからの崩しのアイデアが乏しい
  • ゴール前の枚数と迫力が足りない
  • 結局、左サイドか単発の個人技に頼るしかない

さらにヘタフェは、前述の通り球際でのファウルと時間稼ぎを巧みに織り交ぜ、プレータイムそのものを削ってきます。
マドリーは相手のペースに付き合ってしまい、意図的にゲームスピードを上げることができないまま、展開は停滞。

そして38分、試合を決定づける失点が生まれます。

  • 自陣左サイドからラフに放り込まれたボール
  • そのクリアが小さくなったところを、サトリアーノの豪快なボレー

これは正直「やられ方」としては最悪に近い失点で、
守備ブロックを作る前の段階での準備不足と、セカンドボールへの反応の遅さが凝縮したシーンでした。

ヘタフェ側から見ると「最高の展開」。
マドリー側から見ると「この相手で一番やってはいけない失点」
ビハインドを追いかけるチームとしては、非常に苦しい状況で前半を折り返すことになります。

交代で一時活性化も、アタッキングサードの“型”がない後半

後半に入っても、ベンフィカ戦のような“失点直後のギアアップ”は見られませんでした。
むしろ「ギアを上げるためのスイッチ」がチームとして共有されていないようにすら見えます。

55分、ピタルチアラバトレントを下げ、ロドリゴハウセンカルバハルを投入。
ピッチ上の新陳代謝を促し、縦に速い攻撃へのシフトチェンジを狙った交代でした。

個人単位で見ると、初先発のピタルチは今後も継続して見たい選手です。
フェデ・バルベルデと並んで、ほぼ唯一と言っていいほどオフザボールで駆け引きをしていた存在で、
ボールを持っていない時間帯に「どこでズレを作るか」を考えている数少ないアタッカーでした。

交代で入ったハウセンについては、

  • 事前の印象:集中力の低さと守備の貧弱さがヘタフェのようなゴリゴリ系の相手には相性最悪では?
  • 実際のプレー:予想より良かった

というギャップのある内容。
特に、サイドに張ったヴィニシウスが生んだハーフスペースに顔を出すギュレルへ、
縦にも斜めにも刺さるパスを供給できていた点は評価できます。

ただし、「そこからギュレルが違いを作れたか?」というと話は別。
良いポジションでボールを受けても、アタッキングサードで決定的な仕事に繋げきれず、
シュートやラストパスの選択に余裕のなさが見える時間帯が続きました。

65分前後には、縦に速い攻撃を仕掛けていく形が見え始めたものの、
決定機と呼べるシーンまでは持ち込めず。
ヘタフェ相手に残り20分で2点を奪うというミッションは、現状のマドリーの攻撃設計では正直かなり厳しいと言わざるを得ません。

マスタントゥオーノの光と影、そして試合を締め切れない“若さ”

終盤にかけては、守備モード全開のヘタフェに対して、マドリーは全く糸口を掴めなくなっていきます。

  • 頼みの左サイド:ヴィニシウスが1対1の局面を作るものの、対峙するイグレシアスに完璧にコントロールされる
  • セットプレー:マスタントゥオーノのキック精度が非常に高く、リュディガーの決定機を演出するCKや、ロドリゴへの大外クロスなど、クオリティ自体は光っていた

クロスの質だけ見れば、現状ではギュレルよりも頼りになるシーンすらありました。

しかし85分を過ぎても、決定機どころかまともなシュートシーンすら作れない攻撃。
そして94分、マスタントゥオーノが退場。
おそらく審判への暴言絡みのカードだと思われますが、完全に不要なアクションでした。

今季のマドリーは、こうした精神的な未熟さが目立つ試合が増えています。
ピッチ上でもピッチ外でも、リーダーシップ不足がこの“悪い意味での若さ”を増幅させているのではないか、と僕は感じています。

結局、この試合を通じて最大の決定機は前半のピタルチのボール奪取からのヴィニシウスの1対1。
あそこで仕留め切れないと、ヘタフェやオサスナのようなラ・リーガのボトムハーフ(10位以下)チームにすら今のマドリーは負ける。
その現実を突きつけられたゲームでした。

管理人の感想

内容は…「ギアが上がらない」のではなく、「上げ方がわからない」

内容面について正直に言うと、この試合は「極めて貧弱な組織」を象徴する90分でした。

  • 押し込んでからの“どう点を取るか”が全く共有されていない
  • ビハインドを負った瞬間に、「チームとしてどう戦うか」の共通認識がない
  • 良かったプレーの継続性がゼロに近い

U-NEXT解説の小澤さんも指摘していましたが、アルベロア政権では「良かったプレーの継続性」がないことが本当に辛いポイントです。

  • ソシエダ戦で光ったカレーラスヴィニシウスの横に立たせるやり方
  • 同じくソシエダ戦でのフェデトレントの縦関係
  • それを餌にした対角のフィード

数試合前までは確かに良かったそれらのアイデアが、今のチームからはほとんど消えてしまっている。
これは「ギアが上げられなかった」のではなく、「どのギアをどう入れればいいのか分からない」状態に近いと思います。

結果論としても、ヘタフェやオサスナ相手に今のマドリーは“一度のチャンスを逃すと敗北するチーム”になっています。
押し込んだ攻撃云々以前に、そもそもスコアをひっくり返す攻撃の“型”が存在しない。
ボール保持まではそれらしく見えても、アタッキングサードとバイタルでの決定的な一手がない以上、欧州のメガクラブとしては目を覆いたくなるレベルです。

個の評価と、選手たちが招いた現在地

個の観点で見ると、全員が悪かったわけではありません。

  • ピタルチ:初先発にして高い位置でのプレスとオフザボールの駆け引きで違いを見せた。今後も継続して見たいタレント。
  • ハウセン:守備面と軽率なパスミスには不安は残るものの、ボール保持時の一列持ち出しと配球は唯一無二。ヴィニシウスが作ったハーフスペースに入るギュレルへのパスは可能性を感じた。
  • マスタントゥオーノ:CKとクロスの精度は抜群で、セットプレーのキッカーとしては大きな武器。ただし、暴言絡みと思われる退場はマイナスがあまりに大きい。

一方で、ロドリゴ投入後の前線は明確に秩序を失い、
「誰がどこで起点を作り、誰がどこに走るのか」が完全にぼやけた状態になってしまいました。
選手のクオリティ自体は高いのに、組織としての設計がないがゆえに、個がバラバラの方向を向いてしまっている。

そして忘れてはいけないのが、アロンソ解任直後の“規律なき組織”の余韻です。
細かい戦術や緻密なトレーニングに嫌気が差した選手たちがいた、という話もありますが、
もしそれが事実だとすれば、今の混沌は“自分たちが招いた結果”でもあります。

楽な環境を選んだ代償として、

  • コンセプトがないチーム
  • お得意のマドリディズモは不発でギアの上げ方すら分からない
  • 若さだけが前面に出るメンタル面の未熟さ

こういった現実に直面しているのだとしたら、ここから抜け出すのは選手たち自身しかいません。

まとめ

  • 0-1で敗戦。ベルナベウでのヘタフェ戦で長年なかった黒星を喫し、マドリーの現在地を突きつけられた
  • “点を取る型”がなく、ビハインド時の共通認識がない。
  • 良かったプレーの継続性が失われ、試合をひっくり返す手札が不足しています。
  • ピタルチのプレスとオフザボール、ハウセンの前進力と配球、マスタントゥオーノのキック精度など、光る要素も存在。ただし、その輝きを組織に落とし込めていないのが現状。
  • ローブロックを敷く相手に「一度のチャンスを逃せば負ける」チームになってしまっている。

次戦は3月7日(土)のセルタ戦。
ここでチームとしての戦い方を再構築し少しでも取り戻せるのか、それとも迷走が続くのか。
マドリディスタとしては、もう一度彼らがピッチ上で躍動する姿を信じて待つしかありません。

ではまた次の記事でお会いしましょう! バイバイ!

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