試合レビュー

カレーラスの“強引突破”とチュアメニ&カマヴィンガの盤石コンビ バレンシア vs レアル・マドリード 試合レビュー ラ・リーガ第23節

試合概要

この記事では、2月9日(月)(日本時間)に行われた
ラ・リーガ第23節「バレンシア vs レアル・マドリード」の試合を振り返ります。

前節ラージョ戦は、

  • 試合終了間際のPK弾でなんとか勝利
  • 守備も攻撃も上手くいかず
  • 「チグハグですらない」組織としての機能不全

という、かなり重たい総括にならざるを得ない内容でした。

その流れを受けた今節のテーマは明確でした。

「内容面も含めて、組織としての再起動が見えるかどうか」

結果は 0-2 での勝利。
65分にカレーラス、90+1分にエンバペが決めてスコア上は快勝と言っていい結果でしたが、内容面だけを切り取ると、

  • 保持では再び停滞
  • アタッキングサードの崩しはほぼ設計不在

という、ラージョ戦の内容と大きく変わらないような試合だったと思います。

それでも、左サイドから積極的に踏み込んだカレーラスの一撃と、
中盤で、相手の攻撃の芽を刈り続けたチュアメニカマヴィンガの働きによって掴んだ勝ち点3でもあるのかなと思います。

この「結果と内容のギャップ」を軸に、試合を振り返っていきましょう。

まいマド的総括

ラ・リーガ第23節 バレンシア vs レアル・マドリードのスタメンとハイライト

試合ハイライトはこちら

※ハイライト引用(Real Madrid

両チームのスタメンとフォーメーション

画像引用元(FOTMOB

試合の流れ

保持 vs ブロック アタッキングサードで詰まるマドリー

立ち上がり10分までは中盤での主導権争いが続いたものの、
徐々に構図ははっきりしていきます。

  • マドリー:ボールを保持する側
  • バレンシア:自陣でブロックを敷く側バレンシア

保持時は4-4-2(ダイヤモンド型)をベースに、中盤のチュアメニ、カマヴィンガ、バルベルデ、ギュレルの4枚構成。
機動力重視でギュレルが違いを作るような保持構造ですが、肝心のアタッキングサードに入ってからが目も当てられない出来でした。

  • ゴンサロ・ガルシアエンバペの2トップがまったく活きない
  • 幅を取る選手が少なく、中央レーンとバイタルが渋滞
  • 結局、U字のパス回しで完結し、バレンシアのブロックを揺さぶれない

前線が幅を取らない状態で中央突破に固執するため、
相手からすると「中央を閉じておけばいい」守りやすい保持になっていた気がします。
実際、中央へのパスがカットされるシーンやロストも増え、被カウンター対応の局面が増えるたびにヒヤリとする前半でした。

一方のバレンシアは、

  • ローブロックで中央を固める
  • 奪ったらサイドに素早く展開

というシンプルで明快な狙い。
「どこから点を取りにいくのか」という道筋が相手には見えていて、こちらにはほとんど見えない。

そんなコンセプトの差が明確に示された45分だったと思います。

カレーラスの“強引突破”と、個の地力で決め切った後半

後半に入ると、まず変化が現れたのはバレンシア側でした。
60分前後から明らかに守備・攻撃の精度が落ち始め、ライン間の距離も少しずつ間延びしていきます。

とはいえ、マドリーの保持構造が劇的に改善されたわけではなく、

「相手の強度が落ちたことで、ようやく攻撃に少しだけ可能性が見え始めた」
という時間帯でした。

その停滞をこじ開けたのが、65分のカレーラスです。

  • いつものようにペナルティエリア外でU字のパス回し
  • セーフティに戻しても誰も仕掛けない場面

そこで彼は、左サイド高い位置でボールを受けると、
あえて“やってはいけない”匂いすらする多人数vs1の勝負を選択。
左サイド大外から強引にペナルティエリア内へ侵入し、そのままフィニッシュまで持ち込んで先制点を奪いました。

戦術的に綺麗な崩しとは言えません。
どちらかといえば「設計外」の一発です。
ただ、今の無味無臭な保持を見ていると、

誰かがこのアタッキングサードの“聖域”に踏み込まない限り、何も変わらない

という現実もまた、厳しく突きつけられます。
ラッキーな要素を含みつつも、そのラッキーを引き寄せたのは彼の勇気とメンタルだと僕は思います。

75分にはダビド・ヒメネスゴンサロ・ガルシアを下げ、トレントブライム・ディアスを投入。
これで前線と2列目の役割分担がわずかに整理され、被カウンター対応も含めてチーム全体のバランスは少し落ち着きました。

そして90+1分、バレンシアのラインが集中を切らせつつあったタイミングで、
最終ラインのハイセンが裏のスペースへロングフィード。
抜け出したブライム・ディアスが運び、中央でフリーになったエンバペがきっちり沈めて0-2。

この試合のマドリーは「圧倒した」というほどではありませんが、
最後はやはり個の決定力と、ラインの裏を突く一撃で勝負を決めた形でした。

管理人の感想

組織としての攻守が依然迷子

前節ラージョ戦の総括は、

  • 守備も攻撃も上手くいかず
  • 「チグハグですらない」
  • 組織としての攻守はどこへ…

というものだったわけですが、正直なところ今節も路線はほぼそのままです。

  • 保持 vs 非保持の構図は作れる
  • 守備ブロック自体は崩壊していない
  • ただしアタッキングサードの崩し、バイタル攻略の設計図がほぼ見えない

以前から指摘している通り、昨季からマドリーは

「保持で崩すチーム」ではなく、「個の能力でなんとかするチーム」

としての側面がより強くなってきているように感じます。

BBCと“黄金の中盤”の成功体験がフロントや選手たちの中に聖域化していて、
「自分たちならそのうち点を取れるだろう」という過信が戦術のアップデートを遅らせている。

可変の形だけはそれっぽいのに、

  • レーンチェンジは少ない
  • 3人目の動きも乏しい
  • アタッキングサードでの約束事も薄い

結果、組織としての攻守は相変わらず迷子のままです。

カレーラス:左サイドの“聖域”をこじ開けた不遇のサイドバック

そんな中で、カレーラスのゴールはこの試合の象徴でした。

普段の彼は、

  • 左サイドの守備
  • ヴィニシウスのロストカバー
  • 最終ラインの安定化

といった、地味だけど重要なタスクに忙殺されていて、
攻撃面のクオリティに見合うだけの裁量を与えられていない印象が強い選手です。

それがこの試合では、チームの保持が完全に停滞している時間帯に、
「ここで失えば即カウンターだぞ」という文脈を理解したうえで、あえて一歩踏み込んだ。

普段の彼なら、安全に戻していた場面かもしれません。
そう考えると、あのゴールは単なる1点以上に、

「好きにやれれば攻撃でも結果を残す」という意志

が表れたシーンでもありました。

左サイドは長らくヴィニシウスの“聖域”のように扱われてきましたが、
カレーラスのように攻撃もできるSBが見せたこのプレーの意味は、小さくないと思っています。

ゴンサロ&エンバペ、そしてチュア&カマ──システムと個のバランス

ゴンサロ・ガルシアに関しては、「システムの被害者」という側面がかなり強かった試合でした。

  • 3トップの中央で明確なターゲットを与えられると輝くタイプ
  • まだ何でもこなせるボックスtoボックス型のFWではない

それにも関わらず、幅を取る選手がほぼいない2トップの一角に置かれた結果、
長所である「ゴール前の怖さ」がほとんど出ないまま交代。
ポテンシャルは疑いようがないのに、システムに長所を削られてしまった印象です。

一方のエンバペは、相変わらずワールドクラスの決定力を維持しているはずですが、
「最終的には彼が決めてくれるだろう」という前提で設計してしまうと、
他の選手の役割や輪郭がどんどんぼやけていきます。

その中で救いだったのは、
中盤のチュアメニカマヴィンガコンビが、

  • 広大なエリアをカバーするボックスtoボックスな守備範囲
  • バイタル前での対人の強さ
  • 被カウンター対応でのスライドとカバー

によって、後方からチームを支え続けていました。

前線がバランスを崩しても、
この2人を中心とした守備のおかげで、
試合全体のリスクはギリギリ許容範囲に収まっていた。
この2人の守備能力は今のマドリーにおける強みの一つだと感じました。

まとめ

  • 保持・崩しの部分は前節ラージョ戦から大きな改善は見られず、内容は依然として空虚
  • アタッキングサードとバイタル攻略の設計図が薄く、「空回りする」攻撃はそろそろ限界が近い
  • それでもカレーラスの“強引突破”ゴールと、終盤のエンバペ弾という「個の力」で試合を決め切った
  • 中盤のチュアメニ&カマヴィンガ、そしてアセンシオを中心とした守備ブロックが、被カウンター対応とブロック守備で勝利の土台を作った

次戦は、ラ・リーガ第24節、レアル・ソシエダを迎えてのホームでの一戦(日本時間2月15日(日)予定)です。
そろそろ「内容」と「結果」が噛み合うマドリーを見せてほしいところ。

ではまた次の記事でお会いしましょう! バイバイ!

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