
試合概要
この記事では、2026年1月9日(金)に行われたスーペルコパ・デ・エスパーニャ準決勝「アトレティコ・マドリード vs レアル・マドリード」の一戦を振り返ります。
今季、リーグ前半戦では大敗を喫した宿敵アトレティコとの再戦。
リベンジの舞台は整いましたが、チーム得点王のエンバペを欠く状態のなかで、いかに戦うかが問われました。
結果は 1-2での勝利。 開始早々の先制点と完璧な崩しからの追加点で決勝進出を決めましたが。
依然として残るビルドアップの機能不全を、今回も「個の煌めき」で覆い隠した……
そんな90分間をします。
まいマド的総括
スーペルコパ準決勝 アトレティコ・マドリード vs レアル・マドリードのスタメンとハイライト
試合ハイライトはこちら
※ハイライト引用(Real Madrid)
両チームのスタメンとフォーメーション


画像引用元(FOTMOB)
途中出場(マドリーのみ)
69分 リュディガー OUT→メンディ IN
69分 アセンシオ OUT→フラン・ガルシア IN
81分 ヴィニシウス OUT→ギュレル IN
87分 ロドリゴ OUT→マスタントゥオーノ IN
87分 カマヴィンガOUT→セバージョス IN
試合の流れ
電光石火のフェデ砲と「苦悩」のビルドアップ
試合は最高の形で動きました。
開始わずか2分、FKのチャンスからフェデ・バルベルデの強烈なシュートが炸裂し先制。
久々のフェデ砲を見ることができて本当に嬉しかった!
幸先良いスタートを切ったマドリーは、非保持時4-4-2のブロックを形成。
トップ下のジュード・ベリンガムがゴンサロ・ガルシアと横並びになる形を採用しました。
しかし、リードを奪った後の展開は重苦しいものでした。
特に深刻なのが自陣からの前進です。基本の2CB(アセンシオ、リュディガー)では相手のプレスを剥がす効果的なパスが出せず、
第1プレッシャーラインを越えても前線の流動性が低いため、アトレティコの強固なブロックに屈する場面が目立ちました。
結果として、無理に繋がず後ろに下げてから、クルトワからの「捨て玉」に近いロングボールを放らざるを得ない展開に。
15分以降は立ち位置を変えながら押し込む時間は増えたものの、一辺倒な組み立ては変わらず、ロスト後のリカバリーはDF陣の個人技に依存する危ういバランスが続きました。
カマヴィンガの輝きとロドリゴの「最適解」
この試合、一際異彩を放っていたのがカマヴィンガです。相手の激しいプレッシャーをダイレクトの縦パス一本で無力化し、バイタルに構えるベリンガムへ通すシーンには痺れました。
また持ち前の推進力のあるドリブルで相手のプレスを無効化したり、彼の持ち味がこれでもかというくらい目立ちました。
現状、組織でビルドアップや組織的な攻撃に課題があるマドリーにとって、この試合のカマヴィンガはまさに守備から攻撃へ繋げる生命線のような役割を担っていたと思います。
そして54分、完璧な崩しが見られます。
自陣の低い位置からカマヴィンガ、チュアメニ、ベリンガムがテンポ良くボールを動かし、相手を引きつけてから右サイドのバルベルデへ展開。
そこから走り込んだロドリゴへの完璧なスルーパス。
ロドリゴがオブラクとの1対1を冷静に沈めて追加点。
苦しみながらも、一瞬の隙を突くこの「流れを無視した攻撃」が戻ってくるとマドリーらしいなと感じます。
しかし、その直後の57分。
クルトワからのロングボールを回収されたところから、特に後半から散々狙われていた左サイドを攻略され、セルロートにあっさり失点。
アロンソ監督も即座に反応し、守備強度の低いヴィニシウスに代わってベリンガムを左に回す修正を施すなど、対応に追われました。
60分以降もかなり危ないシーンは多かったですが、前述のヴィニシウスの立ち位置の変更などでなんとか凌ぎます。
選手交代なども駆使しながらなんとか守り切って1-2で勝利。
バルセロナの待つ、決勝へ駒を進めたのはレアル・マドリード。
今季最大の大敗を喫したライバルクラブにこのギリギリの展開を制して勝利できたのは非常に大きいなと感じました!
管理人の感想
現状のアロンソマドリーの限界値はここか
リベンジを果たした喜びはもちろんありますが、俯瞰して見れば、今のレアル・マドリードは一つの「限界値」に達しているように感じます。
ここ数試合、アロンソ監督の戦術的理想と、ピッチ上の選手側の要求との間で折衷案を探り続けてきた印象がありますが、年明けのベティス戦あたりから、その「妥協点」がなんとなく落ち着くべきところに落ち着いた気がします。
例えば、シーズン最序盤のようなハイプレスの練度はないものの、シーズン前半のアトレティコ戦以降に見せたような中途半端なプレスでもない、「中の上」程度の強度は保つ。
また、ギュレルとベリンガムの共存という難題を一旦諦め、明確な起用優先順位をつける。
さらに、低い位置から無理に繋いで自滅するよりは、クルトワまで下げてロングボールを積極的に使うという現実的な選択肢を受け入れる。
これらはアロンソの理想をマドリーの現実にアジャストさせた結果であり、今のチーム状況においてはこのアトレティコ戦で見せたクオリティこそが、現状の「歪な完成形」であり限界値なのではないでしょうか。
属人性の高い「中盤3枚」への依存
そうした妥協の上で成り立っている今のサッカーは、極めて属人性が高いと言わざるを得ません。
結局のところ、チュアメニ、カマヴィンガ、ベリンガムという中盤3枚の圧倒的な「個」が、守って、作って、崩すという全工程を担っているのが実情です。
特にカマヴィンガ&チュアメニの存在感はもはや異次元です。
相手のプレッシャーが最もかかるエリアでダイレクトに縦パスを差し込み、一気に局面を変える能力は、組織的なビルドアップの不備を一人で帳消しにしてしまいます。
また、圧倒的な守備強度と身体能力でことごとくチャンスを刈り取るチュアメニは言わずもがな、この試合でも試合後半にCBとしてポジションを移すと、エリア内での大ピンチをスーパークリア。
攻守に渡ってこの2人の存在感はもはやチーム内で代替不可であり、組織で崩す絵が描けていない以上、彼ら個人のパフォーマンスが少しでも落ちれば、即座にチームが沈んでしまう危うさを孕んでいます。
ヴィニシウスの孤立と組織のズレ
このある意味まとまりが出てきた属人性の高いサッカーから、唯一取り残されているように見えるのがヴィニシウスです。
年明けから守備への意識は見せているものの、チーム全体の守備スイッチと彼がかけるプレスのタイミングが決定的にズレています。
自分一人で「行ける」と思って突っ込んだ後に、後ろが付いてきていないことに対して「なぜ前を詰めていないんだ」と不満を見せるシーン。
それは今の彼が、チームがようやく見つけた「妥協点」の中に上手く収まりきっていないことを象徴しています。
思うに彼は攻撃でも守備でも「独りよがりになりすぎている」というのが現状だと思います。
元来、頭の良い選手(サッカーIQ的な意味)ではないと思っていましたが、そこに頑固さ・プライドの高さが加わって誰も彼を止められなくなってしまっているように感じます。
明らかに守備時のポジショニングやプレスのタイミング、そしてサボるタイミングなど全てが彼の感覚とチームの感覚でズレているように感じます。
アロンソ監督が、サイドでの守備強度が保てなくなった彼を早々に見切り、ベリンガムを左に回して組織を安定させたのは、今のチーム状況における「正解」でした。
ヴィニシウスが持つドリブルでの突破という「個の煌めき」と、組織としての「規律」の天秤。
次戦の決勝、そしてタイトルを獲るためには、このエースの使い方を含めた「限界値」のさらなる上振れを期待するしかありません。
まとめ
- フェデ砲とロドリゴ弾!ダービーのリベンジを果たしスーペルコパ決勝へ
- ビルドアップの機能不全は相変わらず。カマヴィンガの個人技頼みの前進が続く
- 68分での両CB交代というアロンソ監督の荒療治。怪我人の情報は気になる
- ヴィニシウスの「空回り」。個の突破力と組織守備の天秤をどう取るか
リベンジこそ果たしましたが、決勝に向けて課題は山積みです。
とはいえ、この苦しい試合を勝ち切る勝負強さこそマドリーらしいと言えるかも。
次戦は今季初のタイトルがかかる大一番となります。
ではまた次の記事でお会いしましょう! バイバイ!