
試合概要
この記事では、2025年12月1日(日本時間)に行われたラ・リーガ第14節「ジローナ vs レアル・マドリード」の試合を振り返ります。
CLでのエンバペ4発という衝撃的な勝利から数日。
勢いそのままにリーグ戦でも爆発したいマドリーでしたが、アウェー・モンティリビ(ジローナのスタジアム)での戦いは非常に重苦しいものとなりました。
結果は 1-1の引き分け
スコアこそドローですが、内容は多くの課題を突きつけられる90分間でした。
そしてこれにより、マドリーはラ・リーガ首位の座をバルセロナに明け渡す形となりました。
攻撃のリズム、プレスの強度、そして見えない得点の形…
早速試合を振り返っていきましょう。
まいマド的総括
ラ・リーガ第14節ジローナ vs レアル・マドリードのスタメンとハイライト
試合ハイライトはこちら
※ハイライト引用(レアル・マドリード公式チャンネル)
両チームのスタメンとフォーメーション


画像引用元(FOTMOB)
途中出場(マドリーのみ)
46分 ギュレル OUT→カマヴィンガ IN
72分 チュアメニ OUT→ロドリゴ IN
90分 フラン・ガルシア OUT→カレーラス IN
90分 トレント OUT→ゴンサロIN
試合の流れ
停滞するビルドアップ
現在レアル・マドリードはリーグ戦に置いて致命的な課題を抱えています。
それは「ビルドアップ」
効果的なビルドアップができておらず、途中で相手に奪われてショートカウンター、
前線まで届けたとしても相手が構えた状態で「ボールを持たされている」ように映る場面も多いです。
この試合も前半から、ビルドアップの課題が露呈します。
右から左、左から右へ。ただただ横パスを繋ぐだけの「U字型」ビルドアップに終始し、
相手守備ブロックを揺さぶることができませんでした。
そんな中、26分には自陣深くでトレントが致命的なパスミス。
あわや失点というシーンでしたが、こういった通常では考えられないプレーが頻発するのはビルドアップ戦術が仕込めていない現在のチーム状況を物語っています。
トレントに関しては致命的な前半のパスミス以外は攻守において、
いい活躍を見せていただけに及第点だっただけに、集中力を欠いた前半のあのプレーが悔やまれます。
崩せない攻撃、軽すぎる守備
前述した「U字型」ビルドアップから有効な攻撃に移るのに最も有効的だと思うのは
「スイッチを入れるパス」だと個人的に思っています。
スイッチを入れるパスとは横ではなく、縦方向に鋭いパスを入れて相手のゴールに向かっていくこと
ダイレクトや少ないタッチで相手の守備のリズムをずらし、自分たちの攻撃のリズムを生み出すようなパスのことを指します。
まさに38分頃にバルベルデが右サイドから縦に鋭いパスを入れ、自身も駆け上がりゴールに迫りました。
やはり、ただ回すだけでなく、こういった「スイッチを入れるパス」がないと今回のジローナやラージョ、エルチェのようにブロック守備を組んで引いてくる相手は崩せません。
直後の39分、エリア内の混戦からエンバペが半ば強引なゴリ押しでネットを揺らしますが、これはハンドの判定でノーゴール。
チャンスの後はピンチが必ず来る。
ということで、44分相手がマドリーから見て左サイドからボールを持ち運び、下がりながら対応するDF陣に対してバイタルエリアに横パスで差し込んだところをフリックで落とし、見事にシュートを沈められ、先制点を献上してしまいます。
これもオリンピアコス戦同様、本来ヴィニシウスがマークしなくてはいけない選手をドフリーにさせた結果、
持ち運ばれて横パスを入れられたと思います。
ボールを奪わなくても、前に立って相手を遅せるようなプレーができたらまた違っていたのかなとは思います。
というのも守備者からすると相手のボールホルダーがフリーでかつ、下がりながら対応するって結構難しいんですよね。
「横パス入った時にもっと強くいけないの?」
と思う方もいるかもしれませんが、自陣ペナルティエリア内で構えている状態ならともかく
あのような下がりながらの対応で飛び出すのはかなり無理があると思います。
なので厳しいようですが、僕としてはヴィニシウスの怠慢な守備から生み出された失点だと考えています。
クルトワの神セーブとヴィニシウスのブレーキ
後半に入ってもマドリーの攻撃のリズムは好転しません。
56分にはプレスを綺麗に剥がされ、決定的なピンチを迎えますが、ここは守護神クルトワがスーパーセーブ。
この試合も彼に救われました。
一方で、攻撃のブレーキとなってしまったのがヴィニシウス。
仕掛けのタイミングが悪くロストを繰り返し、そこからカウンターを食らう悪循環。
彼の仕掛けからPKを獲得し、なんとか1点を返したものの、勝ち点3を逃した悔しさ以上に、チームの機能不全が際立つ試合となりました。
管理人の感想
ヴィニシウスの「独りよがり」なプレー
この試合、最も気になったのはヴィニシウスのパフォーマンスです。
ロストが多いのは彼のスタイルの代償とも言えますが、問題はその「失い方」と「タイミング」です。
マドリーのボール保持の局面でチームが押し上げようとしているタイミングで無理に仕掛けてロストし、カウンターの起点になってしまう。
これが最悪でした。
また、これは彼だけの問題ではないですが、彼がサイドをえぐってクロスを上げる際、マイナスにしか選手が待っていない。
それなのにヴィニシウスのクロスは味方選手のいないところばかりに飛んでいく。
中の選手と意思疎通が全く取れていないように見えました。
シーズン序盤と比較すると「個」で打開できない時の引き出しの少なさが、今の停滞感を生んでいるのではな以下と思います。
ベリンガム&ギュレルの共存問題の行方
ベリンガムが肩の手術から本格復帰した、マドリードダービー以降、
チームはギュレルとベリンガム、どちらをトップ下の位置で起用するのか迷走し続けてきました。
そしてこの試合フォーメーションとは違い、ベリンガムがトップ下でギュレルがインテリオールの位置でビルドアップを行っていました。
結論から言うと、ギュレルは低い位置でのプレーは適していないと思います。
低い位置でのもらい方にも問題があるし、相手に背中を向けてボールを受けるシーンが多すぎるので、彼の良さが全く活きていませんでした。
さらには前を向いても攻撃のアイデアを出せる位置にいない。持ち前のキックのうまさも活きない。
おそらくアロンソ監督はギュレルにビルドアップ〜ラストパスまでチームの攻撃のタクトを振るうゲームメイカーになって欲しいんだとは思いますが、
ベリンガム離脱時にトップ下で見せていた輝きと現状の彼を比較すると、彼はトップ下の位置でラストパスに特化するアシストプレイヤーだと感じました。
ビルドアップの役割を担わせるのであれば、プレス耐性が高く、細かいパスワークが得意なセバージョスを低い位置で起用した方が、攻守のバランスは確実に良くなったはずです。
寵愛するギュレルを使って育成はしたいが、絶対的なベリンガムをベンチに置くわけにはいかないと考えたアロンソ監督が下した起用のように感じますが、アロンソ監督がギュレルに何を求めていたのか、少しチグハグさを感じました。
痛感するリュディガー&ミリトンの「個の守備力」
ここまでネガティブな要素ばかり書いてきましたが、この試合唯一と言ってもいいポジティブな要素があります。
それはリュディガーとミリトンの脅威的な対人性能の高さと守備能力です。
リュディガーは言わずもがな、ミリトンも先日の代表期間中に故障して以来の出場になりました。
※リュディガーに関しては8月25日のレアル・オビエド戦以来!!
ただこの試合彼らのパフォーマンスはクルトワに並んでチーム随一と言っていいほどのパフォーマンスでした。
裏へのボールが来ようが、相手のポストプレーだろうが、ことごとく弾き返します。
場合によっては完全に奪い切ってマイボールにするなど、ここ数試合ハイセンやカレーラスの貧弱なDFラインを見てきた僕の目に彼らのプレーは以前以上に強烈に写りました。
前回のオリンピアコス戦で感じた物足りなさ。
守備でも「個」の力を見せてほしい というのはまさにこういうことだよ!と1人で興奮してしまいました。
この二人にある「理不尽なまでの個の守備力」「圧倒的な対人強度」を見てしまうと彼ら以外のCBで満足できそうなのは個人的にはアセンシオが次いでそれ以外は物足りないと感じてしまいそうです。
まとめ
- リーグ戦3戦引き分けで首位陥落!
- ビルドアップ解決の糸口はなし
- ヴィニシウスと中盤の構成を解決しないと未来はない
次戦は12月4日(木)03:00~(日本時間)のラ・リーガ第15節のアスレティック戦です。
ではまた次の記事でお会いしましょう!
バイバイ!